ビタミンB1
疲れをとり、糖質をエネルギーに変換します
ビタミンB1の化学名はサイアミンと言います。昭和初期に脚気という病気が流行し、その予防と改善にビタミンB1不足を解消すること、ということで米ぬかから発見されたビタミンです。発見者は日本人農芸化学者でした。
ごはんやパンなどの糖質が、体内で分解され、エネルギーに変換される際、酵素が働きます。ビタミンB1はその補酵素の役目があります。糖質を分解してエネルギーが産生されると、体内の疲労物質である乳酸が蓄積されるのを防ぎ、カラダを元気にしてくれます。
また、糖質は脳や神経系のエネルギー源にもなるので、精神を安定させて、イライラを抑えてくれます。イライラしやすい人はビタミンB1が不足しているかもしれません。
不足すると…!?
ビタミンB1は精神を安定させる作用があるため、不足するとイライラとしてきて、それを抑えるために、さらに体内のビタミンB1を消費してしまいます。また、糖質の代謝が低下するとエネルギーが不足して疲れやすくなります。悪化してくると、動悸(どうき)や、手足のしびれ、食欲不振などが現われ、「脚気(かっけ)」を招くこともあります。
摂りすぎると…!?
水溶性ビタミンで短時間で排泄されるため、過剰症の心配はほとんどありません。にんにくに含まれるビタミンB1は、にんにくに含まれるアリシンと結合してアリチアミンという物質に変換され、血液中に長く滞在することができます。そのため、他の食品から摂ったビタミンB1も排泄されにくくなるため、疲労回復作用が高まります。にんにくは疲労回復にいいでしょう。。
ビタミンB1を多く含む食品
豚肉や鰻(うなぎ)に多く、穀類の外皮にも含まれています。主食を玄米や全粒粉小麦粉のパンに替えると効率よく摂れるでしょう。
- 肉類(食品100g中)
豚ヒレ肉:0.98mg、豚もも肉:0.96mg、豚レバー:0.34mg - 魚介類(食品100g中)
鰻の蒲焼:0.75mg、鰤(ぶり):0.24mg、鮎(あゆ):0.23mg、しらす干し:0.22mg - 穀類(食品100g中)
玄米:0.41mg、胚芽精米:0.23mg - その他(食品100g中)
大豆:0.83mg、そら豆:0.30mg、舞茸:0.25mg
1日の摂取基準
年 齢 | 推奨量(mg) | |
男 | 女 | |
0~5ヶ月 | 0.1* | 0.1* |
6~11ヶ月 | 0.3* | 0.3* |
1~2歳 | 0.5 | 0.5 |
3~5歳 | 0.7 | 0.7 |
6~7歳 | 0.8 | 0.8 |
8~9歳 | 1.0 | 1.0 |
10~11歳 | 1.2 | 1.1 |
12~14歳 | 1.4 | 1.2 |
15~17歳 | 1.5 | 1.2 |
18~29歳 | 1.4 | 1.1 |
30~49歳 | 1.4 | 1.1 |
50~69歳 | 1.3 | 1.1 |
70歳以上 | 1.2 | 0.9 |
*は目安量です。妊婦は妊娠中期に+0.1、妊娠後期に+0.2、授乳婦は+0.2を付加してください。
「日本人の食事摂取基準」より抜粋
一緒に摂ると効能が高まりそうな栄養成分
アリシン
アリシンは、にんにくや玉ねぎなどの匂いのもとで、イオウ化合物の一種です。ビタミンB1の吸収をよくして、糖質の代謝を促して、疲労を回復してくれるでしょう。スタミナがつくので、夏バテ予防に効果が期待できます。アリシンは、切ったり、潰したり、刺激を与えると働くので、みじん切りにして薬味などに使いましょう。
豊富な食品:にんにく、玉ねぎ、ねぎ、にら
ナイアシン
ナイアシンは、糖質、脂質、タンパク質の代謝に必要不可欠な水溶性ビタミンです。ビタミンB1と一緒に摂ることで、糖質の代謝が高まって、効率よくエネルギーを産生できるでしょう。乳酸などの疲労物質が筋肉に蓄積されにくくなるため、筋肉痛の予防にも効果があるでしょう。
豊富な食品:レバー、鰹(かつお)、鮪(まぐろ)、アーモンドなどのナッツ類
ビタミンB1を含む食品を食べる時の注意点
野菜は米ぬかに漬けてお漬物に
元々、米ぬかから発見されたビタミンB1は、野菜のお漬物にしていただくと、野菜を食べながらビタミンB1補給ができるので、効率的です。また出来上がったお漬物のビタミンB1の含有量は、米ぬかのみ時の7倍にも増えています。そして野菜が塩分と共に密封される過程で、乳酸菌も発酵されています。日本伝統のぬか漬けのお漬物でビタミンB1補給、野菜摂取、乳酸菌摂取ができて、胃腸の働きも改善してくれるでしょう。
熱に弱く、溶けやすいビタミン
水溶性なので、加熱するとさらに溶けやすくなります。調理すると損失しやすいのが難点ですが、加熱時間を短時間で切り上げ、煮汁ごといただける汁物メニューで食べるようにしましょう。また、水道水に含まれる塩素でもビタミンB1が流出してしまうので、玄米を炊く時はミネラルウオーターを使用しましょう。
まとめ
- 昭和初期の脚気が流行った時期に米ぬかから発見されたビタミンです。
- 糖質の分解に必要な栄養素で、疲労回復、精神安定作用が望めます。
- 豚肉やうなぎ、玄米などに豊富で、にんにくやネギ類と摂ると効果が高まるでしょう。