タンパク質とアミノ酸の種類と働き

タンパク質は、特定の食品に含まれているものと、体内で合成できない必須アミノ酸、体内で合成できる非必須アミノ酸などがあります。

食品に多く含まれる代表的な6つのタンパク質

コラーゲン

コラーゲンは、動物の体内で、皮や骨の中、骨と骨をつなぐ筋など、結合組織に多く存在しています。カラダを構成するタンパク質の1/3を占めており、十分に摂ることで美肌効果が期待できます。骨を強く、しなやかに保つ作用も期待できます。

豊富な食品:鶏の手羽や皮、牛すじ肉、鰈(カレイ)、鰻(うなぎ)など

ラクトフェリン

母乳に多く含まれているタンパク質で、鉄の吸収を高めて、貧血を予防します。免疫細胞を活性化させ、胃潰瘍の原因となるピロリ菌の繁殖を抑え、胃の調子を整える効果が期待できます。

豊富な食品:牛乳、チーズなどの乳製品

レクチン

細胞膜の表面にある糖タンパク質と糖脂質と結びついて、細胞を活性化させる作用があります。免疫力を強くするので、体内で有害なウイルスや細菌が増えるのを防ぎ、ガン細胞の増殖も防ぐ作用が期待できます。また赤血球の働きを強める作用も期待できるでしょう。

豊富な食品:じゃがいも、大豆、インゲン豆

小麦アルブミン

小麦に含まれているタンパク質を精製した成分です。デンプンを分解する消化酵素アミラーゼの働きを穏やかにして、糖質の消化・吸収を遅らせる作用があります。食後高血糖などを防ぐため、糖尿病などの予防に役立つでしょう。

豊富な食品:小麦、パン、小麦製品

グリシニン

大豆に含まれているタンパク質で、約半分を占めています。アミノ酸バランスのいい良質のタンパク質です。余剰分の中性脂肪やコレステロールを減らし、肥満、高血圧、動脈硬化による心筋梗塞、生活習慣病などの予防が期待できます。

豊富な食品:大豆、高野豆腐、豆腐、納豆、油揚げ、豆乳など

カゼイン

牛乳に含まれるタンパク質の70~80%を占める成分です。カルシウムの吸収を高めて、胃や腸などの消化管の働きを調整します。カゼインが分解されるとカゼインホスホペプチド(CPP)となり、カルシウムや鉄の吸収を助ける役目があります。

豊富な食品:牛乳、チーズなどの乳製品


体内で合成できない9つの必須アミノ酸

ロイシン

筋肉組織の主成分となります。肝臓の働きをよくして、筋肉を強くする作用があります。肉類や乳製品をはじめ、多くの食品に含まれていますが、摂りすぎると逆に免疫力が低下するので、注意しましょう。

イソロイシン

筋肉組織の主成分の1つで、カラダの成長を促して、筋肉を強くしたり、肝臓や神経の働きを高める作用があります。牛乳、プロセスチーズ、鶏肉、鮭などに豊富です。

リジン

カラダの組織の修復や、成長を促す作用があります。穀類のタンパク質に不足するので、肉類、魚介類、卵などの動物性タンパク質を大豆製品と合わせて補うことでバランスが整います。

メチオニン

イオウを含むアミノ酸で、痒み(かゆみ)やアレルギーの原因となるヒスタミンの血中濃度を下げ、抗うつ効果も期待できます。牛乳、レバー、全粒粉小麦粉に豊富です。

フェニールアラニン

興奮作用のあるドーパミンやノルアドレナリンなど、神経伝達物質の基になります。血圧を下げる作用も期待できるでしょう。乳製品、肉類、魚介類、豆類などの豊富です。

スレオニン

カラダの成長を促します。肝臓に脂肪が溜まるのを防いだり、脂肪肝の予防にも効果が期待できるでしょう。スキムミルク、七面鳥、卵、ゼラチンなどに豊富です。

トリプトファン

脳や神経の働きを安定させるセロトニンの基となる成分です。鎮痛、催眠効果も望めます。乳製品、大豆製品、ナッツ類に豊富です。

バリン

筋肉組織の主成分の1つで、筋肉を強くして、カラダの成長を促し、血液中の窒素バランスを調整する役目があります。プロセスチーズ、小牛肉、レバーなどに豊富です。

ヒスチジン

お子さんの発育に特に必要不可欠なアミノ酸です。神経の働きを助け、ストレスを軽減する作用も期待できます。チェダーチーズ、ハム、鶏肉、小牛牛などに豊富です。


体内で合成できる11種の非必須アミノ酸

必須ではありませんが、バランスよく摂ることが大切です。

脳や神経の働きを助けたり、免疫力を高めたりと、バランスよく摂ることで健康効果が期待できるでしょう。アルギニンはお子さんの場合、必須アミノ酸に入ります。

  • アスパラギン
  • グリシン
  • グルタミン
  • アラニン
  • セリン
  • アスパラギン酸
  • システイン
  • グルタミン酸
  • プロリン
  • アルギニン
  • チロシン

アミノ酸スコアについて

食品に含まれる必須アミノ酸のバランスを点数で評価したものです。点数が高いものほどバランスがいい食品です。不足分は他の食品と一緒に摂ることで補え、様々な食品と合わせて摂ることが大切です。

動物性タンパク質

  • スコア100
    牛乳、牛肉、豚肉、鶏肉、鯵(あじ)、鮭(さけ)、卵
  • スコア84
    海老(えび)
  • スコア81
    あさり
  • スコア71
    烏賊(いか)

植物性タンパク質

  • スコア86
    大豆
  • スコア65
    精白米
  • スコア38
    小麦粉
  • スコア68
    じゃがいも
  • スコア50
    ほうれん草