ナイアシン

血行をよくして冷えを予防し、二日酔い対策にも役立つビタミン

ナイアシンはビタミンBの1種で、水溶性ビタミンです。動物性食品には、ニコチン酸アミドとして、植物性食品には、ニコチン酸の状態で存在しています。他のビタミンB群の協力で、アミノ酸の1種であるトリプトファンから合成されています。

ナイアシンは、糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素を代謝する時の補酵素として働きます。そして血行促進作用があるので、冷えの予防や改善、血行不良による頭痛の改善にも効果が期待できるでしょう。

さらに、アルコールを分解して、二日酔いの予防となるアセトアルデヒドの分解にも役立ちます。お酒を飲むときは、積極的にナイアシンを摂っておくと、二日酔いや悪酔いを防いでくれるでしょう。

不足すると…!?

普段の食生活で不足することは稀です。しかし何らかの原因で極端に不足してしまうと、手足や顔に皮膚炎を起こす「ペラグラ」という皮膚疾患にかかりやすくなります。また、歯茎がただれる、舌が腫れる、胃炎、食欲不振、便秘や下痢などの症状が出ることもあります。

摂りすぎると…!?

普段の食事で摂りすぎる心配はありませんが、サプリメントなどで1日の推奨量を上回る量を摂ると、肌に赤身やかゆみが出てくることがあります。また大量に摂りすぎると、糖質の代謝を下げて、血糖値上昇の可能性も出てきます。

ナイアシンを多く含む食品

タンパク質を構成するアミノ酸から造られるので、良質なタンパク質を含んでいる肉類や魚介類に豊富に含まれています。

  • 肉類(食品100g中)
    豚レバー:14.0mg、鶏ささみ:11.0mg、鶏むね肉:8.4mg
  • 魚介類(食品100g中)
    鰹(かつお):19.0mg、まぐろの赤身:14.2mg、鯖(さば):11.8mg、秋刀魚(さんま):10.0mg、烏賊(いか):6.0mg、海老:4.5mg、たらこ:5.69mg(10g中)
  • ナッツ類(食品10g中)
    落花生:1.7mg、アーモンド:0.35mg

1日の摂取基準

年 齢 推奨量(mg/NE) 耐容上限量(mg/NE)
男女
0~5ヶ月 2* 2*
6~11ヶ月 3* 3*
1~2歳 6 5 60(15)
3~5歳 7 7 80(20)
6~7歳 9 8 100(30)
8~9歳 10 10 150(35)
10~11歳 13 12 200(45) / 150(45)
12~14歳 14 13 250(60)
15~17歳 16 13 300(70) / 250(65)
18~29歳 15 11 300(80) / 250(65)
30~49歳 15 12 350(85) / 250(65)
50~69歳 14 11 350(80) / 250(65)
70歳以上 13 10 300(75) / 250(65)

*は目安量です。耐用上限量はニコチン酸アミド、( )はニコチン酸のmg量です。授乳婦は+3を付加してください。
「日本人の食事摂取基準」より抜粋

一緒に摂ると効能が高まりそうな栄養素

ビタミンB1

糖質を代謝する作用があるナイアシンとビタミンB1の相乗効果で、糖質からエネルギー産生が起こりやすくなり、疲労回復につながるでしょう。特に炭水化物を摂る時にあわせるといいでしょう。ビタミンB1はにんにくや玉ねぎなどに多く含まれるアリシンと一緒に摂るとさらに効果が高まります。

豊富な食品:豚肉、鰻(うなぎ)、大豆製品、玄米

ビタミンB2

ビタミンB2は、皮膚や髪のもとになるタンパク質の代謝に関わり、美容のビタミンとも呼ばれています。肌を健康に保つ作用のあるナイアシンと組み合わせると、効果が高まるでしょう。秋刀魚(さんま)や鰤(ぶり)、鯖(さば)には、ビタミンB2とナイアシン、両方とも多く含まれていて効率よく栄養摂取ができます。

豊富な食品:チーズ、レバー、鰤(ぶり)、納豆

ビタミンB6

ビタミンB6は、ナイアシンと共に、タンパク質代謝に関与し、免疫機能を正常に保つ働きがあります。ウイルスに対する免疫力も高まるので、風邪の予防や改善にもいいでしょう。ナイアシンは、タンパク質の材料となるアミノ酸から造られるので、ビタミンB6によりナイアシンの合成も高まっていきます。

豊富な食品:レバー、鮭(さけ)、さつまいも、アボカド

ナイアシンを含む食品を食べる時の注意点

肉類や魚介類から摂ると効率的!

肉類や魚介類などの動物性食品には、ナイアシンの他に、ナイアシンの原料となる必須アミノ酸のトリプトファンも含まれています。トリプトファンは安眠効果や、頭痛の鎮静作用も望めるため、ナイアシンを効率よく摂取するには、動物性食品からの摂取がオススメです。

まとめ

  • ビタミンB群の1種で、アミノ酸のトリプトファンから合成される水溶性ビタミンです。
  • 糖質、脂質、タンパク質を代謝する時に、補酵素として働きます。
  • 血行を促進し、アセトアルデヒドを分解して、二日酔いや深酔いを防ぎます。