ナトリウム

細胞内外で水分を調整 過剰摂取は高血圧の原因に

ナトリウムは、塩素と結びついた食塩の状態で摂取されています。神経の働きを正常に保って、筋肉や心筋の弛緩や、ミネラルが血液に溶けるのを助ける作用があります。

主な働きは、カリウムと共に細胞の浸透圧のバランスを保つことです。浸透圧で体内の水分量を調整しており、細胞の外側にナトリウムが、内側にカリウムが存在して、お互いに水分を引き付けあって調整しています。

ナトリウムが増えると浸透圧が高くなり、これを戻すために血液量や尿量が増えてきます。慢性的な摂りすぎは高血圧や腎臓機能の低下を引き起こします。

不足すると…!?

日頃の食生活で不足することはほとんどありませんが、下痢や大量に汗をかいた時にナトリウムが急激に排出されると、カラダがダルくなり、意識がもうろうとしてきます。胃や腸の消化液の分泌も低下するので、消化不良や食欲不振になることもあります。

摂りすぎると…!?

慢性的にナトリウムを摂りすぎると、次第に血圧が上がっていき、高血圧の原因となります。そうなると、心臓が血液を送り出すときに、血管壁に圧力がかかり、血管が厚く硬くなります。これは動脈硬化の現象でもあります。放置すると、血管が詰まりやすくなって、脳卒中や心筋梗塞など、命にかかわる疾患へとつながります。

ナトリウムを多く含む食品

加工食品や調味料に多く含まれています。食塩相当量は、ナトリウム(g)×2.54で求められます。

  • 肉類(10g中)
    ビーフジャーキー:190mg、サラミ:140mg、ロースハム:100mg
  • 魚介類(100g中)
    しらす干し:2600mg、いわしの丸干し:1500mg
  • 調味料(10g中)
    食塩:3900mg、コンソメスープの素:1600mg、淡口醤油:630mg、赤味噌:510mg、ウスターソース:330mg
  • その他
    カップ麺:2700mg(100g中)、梅干し:870mg(10g中)

1日の摂取基準

 年 齢 目標量(mg)
0~5ヶ月 100(0.3)* 100(0.3)*
6~11ヶ月 600(1.5)* 600(1.5)*
1~2歳 (4.0未満) (4.0未満)
3~5歳 (5.0未満) (5.0未満)
6~7歳 (6.0未満) (6.0未満)
8~9歳 (7.0未満) (7.0未満)
10~11歳 (8.0未満) (7.5未満)
12~14歳 (9.0未満) (7.5未満)
15~17歳 (9.0未満) (7.5未満)
18~29歳 (9.0未満) (7.5未満)
30~49歳 (9.0未満) (7.5未満)
50~69歳 (9.0未満) (7.5未満)
70歳以上 (9.0未満) (7.5未満)

*は目安量です。( )は食塩相当量(g)
「日本人の食事摂取基準」より抜粋

一緒に摂ると効能が高まりそうな栄養素

カリウム

カリウムは、ナトリウムの排出を促して血圧を下げ、腎臓からの老廃物の排泄も助けます。ナトリウムは摂取量が多いと血圧を上げて、腎臓に負担をかけるので、あわせて摂ることで高血圧や腎臓病を予防します。カリウムは過剰症の心配は少ないですが、カラダに貯蔵されないので積極的に摂取しましょう。

豊富な食品:ほうれん草、里芋、昆布、ひじき

食物繊維

食物繊維は、腸の中で余分なナトリウムを吸着して、体外に排出し、血圧の上昇を防ぎます。また、ナトリウムの他にも、余分なコレステロールの吸収を妨げたり、糖質の吸収を緩やかにして、血糖値の上昇を防ぎます。生活習慣病予防にも役立つでしょう。

豊富な食品:ごぼう、エリンギ、納豆、蕎麦

ナトリウムを含む食品を食べる時の注意点

調味料は使用量を控えましょう

食塩、味噌、醤油、ソースなどの調味料には多くのナトリウムが含まれています。減塩タイプのものを使ったり、目分量ではなく、必ず軽量スプーンを使うなど、摂りすぎに注意しましょう。酢やレモン汁、だしの風味を生かすなどして、塩味が少なくても楽しめる味付けを心がけましょう。

野菜や海藻を取り入れる

きゅうりやトマトなどの野菜類、わかめや昆布などの海藻類、りんごなどの果物には体内の余分なナトリウムの排出を促すカリウムが多く含まれています。塩分の多い食品や調味料を使う際、これらの食材を取り入れて、血圧の上昇を抑えましょう。

まとめ

  • カリウムと共に、細胞の浸透圧を維持します。
  • 筋肉の弛緩や、神経の伝達作用を助けています。
  • 塩分の多い食事はナトリウムの過剰摂取で、高血圧につながります。