6、一人ひとりに適量のエネルギーがある
健康のために、栄養素のバランスだけでなく、1日の摂取エネルギー量にも気を配る必要があります。また、1人ひとり、体格も生活での活動量も違うため、エネルギーの必要量は違ってきます。
1日に必要なエネルギー量を意識して摂る
1日に摂取するエネルギー量が多すぎると余分なエネルギーが脂肪として貯蔵され、肥満や生活習慣を招いてしまいます。逆に、摂取エネルギー量が少なすぎると、極端にやせ細ったり、カラダの機能が正常に働かなくなります。摂取エネルギー量も、栄養素と同様に、過不足があってはいけないのです。摂取エネルギー量とは、女性のみなさんがよく気にしている「カロリー」のこと。
自分にとっての適切な摂取エネルギー量を知っておくと、1日に飲食したものの総エネルギー量も把握しやすくなり、食べ過ぎなどの警告が自分で読みとれるようになるでしょう。
基礎代謝や身体活動の強度も合わせて考えましょう
適切なエネルギー量を知るには「推定エネルギー必要量」をチェックする必要があります(下図を参照)。年齢・性別・身体活動レベルに応じた摂取エネルギー量の目安がわかります。
ただし、同じ条件でも、筋肉質の人と、ほっそりとした人とでは、基礎代謝量が異なります。すなわち、必要なエネルギー量も異なるということです。
食事摂取基準による「推定エネルギー必要量」(kcal/日)
男 性 | 女 性 | |||||
身体活動レベル* | I | II | III | I | II | III |
0~5ヶ月 | – | 550 | – | – | 500 | – |
6~8ヶ月 | – | 650 | – | – | 600 | – |
9~11ヶ月 | – | 700 | – | – | 650 | – |
1~2歳 | – | 1000 | – | – | 900 | – |
3~5歳 | – | 1300 | – | – | 1250 | – |
6~7歳 | 1350 | 1550 | 1700 | 1250 | 1450 | 1650 |
8~9歳 | 1600 | 1800 | 2050 | 1500 | 1700 | 1900 |
10~11歳 | 1950 | 2250 | 2500 | 1750 | 2000 | 2250 |
12~14歳 | 2200 | 2500 | 2750 | 2000 | 2250 | 2550 |
15~17歳 | 2450 | 2750 | 3100 | 2000 | 2250 | 2500 |
18~29歳 | 2250 | 2650 | 3000 | 1700 | 1950 | 2250 |
30~49歳 | 2300 | 2650 | 3050 | 1750 | 2000 | 2300 |
50~69歳 | 2100 | 2450 | 2800 | 1650 | 1950 | 2200 |
70歳以上 | 1850 | 2200 | 2500 | 1450 | 1700 | 2000 |
厚生労働省 日本人の食事摂取基準「推定エネルギー必要量」(kcal/1日)
*身体活動レベルとその指数について
- I(低い) : 1.50
日常生活において、大部分が座った状態で、安静にしている時間が長い人。仕事がデスクワーク中心の方はIになります。 - II(ふつう) : 1.75
座っていることが多いですが、通勤や作用内容によっては歩行や立った状態での作業や接客もある方。また、家事や軽いスポーツも行う方はIIになります。 - III(高い) : 2.00
仕事でよく移動したり、立った状態で作業をすることが多い方、普段からスポーツを習慣としている方はIIIになります。
妊娠中や授乳中は多めに摂る
母親自身が消費するエネルギーに加え、妊娠中はお腹の赤ちゃんが成長するために必要なエネルギーが必要です。また授乳中は、母乳を造るために必要なエネルギーをそれぞれ補う必要があります。以下を目安に、上表からプラスして多めに摂るように心がけましょう。
身体活動レベル | I | II | III |
妊娠初期 | +50 | ||
妊娠中期 | +250 | ||
妊娠後期 | +450 | ||
授乳期 | +350 |
エネルギー不足による20代女性のヤセ問題が深刻化?
日本人のほとんどの年代が1日の摂取エネルギー量を摂りすぎているのですが、見た目の容姿が気になる20代女性にヤセ問題が起きています。スリムな体型への憧れからダイエットに走るため、摂取エネルギー量が足りずに、やせ過ぎ傾向に。やせ過ぎると生理不順や低体重児が生まれやすくなるといった懸念が出てきます。程度な体重維持も大切です。
エネルギーを一番多く消費する部位はどこ?
基礎代謝で、最もエネルギー量を消費するカラダの部位は肝臓です。その次は脳。ただし、脳はエネルギー源としてブドウ糖しか利用できないため、食事を抜くと頭が働かなくなるなど、エネルギー不足の影響が出やすい部位です。他の部位もあわせて、ベスト5のパーセンテージは以下の通りです。
- 1位 肝臓 : 27%
- 2位 脳 : 19%
- 3位 筋肉 : 18%
- 4位 腎臓 : 10%
- 5位 心臓 : 7%
※FAO/WHO/UNU 合同特別専門委員会の報告より