ビタミンD

カルシウムの吸収を高めて骨や歯を丈夫にします

ビタミンDは、皮膚に紫外線が当たると、コレステロールの1部を材料にして、体内で合成することができます。ビタミンDは植物性食品に多いビタミンD2と、動物性食品に多いビタミンD3がありますが、体内での効能に、特に違いはありません。カルシウムとリンは骨の材料になりますが、ビタミンDはこれらの吸収をよくして、骨に沈着させる作用があり、骨や歯を丈夫にする働きがあります。

カルシウムは筋肉にも存在し、筋肉を収縮させる役目もあります。また、カルシウムは血中にも存在します。ビタミンDはこれらのカルシウムの働きにも関与し、血中カルシウム濃度の調整もおこなっています。血液中のカルシウムが減ってしまうと、骨から血液中にカルシウムを放出させたり、腎臓に働きかけてカルシウムの排泄を抑え、再吸収させる作用もあります。

不足すると…!?

カルシウムやリンが骨に沈着しにくくなり、骨軟化症という骨が弱くなる病気にかかります。お子さんの場合は、「くる病」にかかりやすくなるでしょう。また、骨がスカスカになって、骨折しやすくなり、骨粗しょう症にもかかりやすくなります。また、歯も弱くなり虫歯などのトラブルも引き起こします。その他、足の骨がゆがんで、O脚やX脚になる懸念もあります。

摂りすぎると…!?

ビタミンDを1日に必要な摂取量を10倍以上摂ると、過剰症となり、血管壁や肺、胃、腎臓などにカルシウムが沈着してカラダに支障を来します。また血管壁にカルシウムが沈着すると、血管の内腔が狭くなって、血管がもろくなり、動脈硬化となります。そして悪化してくると心筋梗塞や脳卒中の懸念も高まります。サプリメントなどを利用する場合は、耐容上限量を守るようにしましょう。

ビタミンDを多く含む食品

主に、きのこ類や魚介類に豊富に含まれています。

  • 魚介類(食品100g中)
    しらす干し:61.0㎍、イクラ:44.0㎍、鮭(サケ):32.0㎍、鰻(うなぎ)の蒲焼:19.0㎍、さんま:19.0㎍、鰯(いわし):10.0㎍
  • きのこ・その他(食品100g中)
    きくらげ(乾):43.5㎍(10g中)、舞茸(まいたけ):3.4㎍、ぶなしめじ:2.2㎍、エリンギ:1.8㎍、卵:1.8㎍、干ししいたけ:1.68㎍(10g中)

1日の摂取基準

年 齢 目安量(㎍) 耐容上限量(㎍)
男女 男女
0~5ヶ月 2.5(5.0) 25
6~11ヶ月 5.0(5.0) 25
1~2歳 2.5 25
3~5歳 2.5 30
6~7歳 2.5 30
8~9歳 3.0 35
10~11歳 3.5 35
12~14歳 3.5 45
15~17歳 4.5 50
18~29歳 5.5 50
30~49歳 5.5 50
50~69歳 5.5 50
70歳以上 5.5 50

*( )内は、日照を受けることが少ない乳児の目安量です。妊婦は+1.5、授乳婦は+2.5を付加してください。
「日本人の食事摂取基準」より抜粋

一緒に摂ると効能が高まりそうな栄養素

カルシウム

カルシウムは日本人に不足している人が多いミネラルの1つです。カラダに吸収しにくいので、ビタミンDと摂ると吸収が高まり、骨に沈着しやすくなります。骨がスカスカになると骨折しやすくなり骨粗しょう症などの懸念が高くなります。

豊富な食品:牛乳、チーズ、しらす干し、納豆

脂質

ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を高める作用がある脂溶性ビタミンです。肉類や油などの脂質と一緒に摂ることで、吸収がよくなり、骨や歯の発育を促してくれるでしょう。特に成長期のお子さんや閉経後の女性、高齢者はカルシウム不足になりやすいので、意識して摂るようにしましょう。

豊富な食品:肉類、魚介類、バター、植物油

ビタミンDを含む食品を食べる時の注意点

生のしいたけを食べる時も日光に当てましょう

しいたけを紫外線に当てると、エルゴステールという成分がビタミンDに変換されます。生のしいたけを買ってきたら、2~3時間だけでも日光に当てるとビタミンDが増えて効率的に摂取できます。ネットに入れて、日当たりのいい場所に吊るしておきましょう。

きのこ類は油と一緒に調理しましょう

ビタミンDはきのこ類全般に多く含まれています。脂質と一緒に摂ると吸収が高まるので、揚げ物や炒め物など、油と一緒に調理するようにしましょう。またきのこは独特の旨味が出るので、みじん切りにしてハンバーグに練り込んだり、ビーフシチューにマッシュルームを入れたり、ハッシュドビーフに舞茸やしめじなどのきのこをふんだんに入れたりして摂取しましょう。

まとめ

  • ビタミンDは皮膚が紫外線に当たると、体内で合成されます。
  • 骨の材料となるカルシウムやリンの吸収を高め、骨や歯を丈夫にします。
  • 血液中のカルシウム濃度を調節して、筋肉の収縮をコントロールします。