脂質

エネルギー源の他、細胞膜やホルモンを造ります

脂質は、脂肪酸とグリセリンなどのアルコールが結合してできた、高分子化合物です。水には溶けず、エーテルやクロロホルムなどの有機溶媒に溶ける性質があります。

カラダにとって重要なエネルギー源で1gあたり約9kcalのエネルギーを生み出すのです。余剰分は、体脂肪となって、貯蔵エネルギーとして蓄積され、必要に応じて、使われていきます。主に体温の調整や、内臓を守るクッション的な役割も担っています。

また、細胞壁や細胞の核を包む核膜、副腎皮質ホルモン、性ホルモン、脳の神経組織を造る材料となるなど、生命を維持する上で欠かせない栄養素です。

不足すると…!?

脂質は細胞膜や核膜、ホルモン、神経組織などの材料になり、カラダを構成する成分として使われています。そのため、不足すると、細胞膜や血管が弱くなり、脳出血を起こす懸念が高まるでしょう。また、カラダの重要なエネルギー源であるので、エネルギー不足を招いて、疲れやすくなるでしょう。

摂りすぎると…!?

1gあたり9kcalと高カロリーなので、摂りすぎは肥満につながります。特に、肉類やバターなどの動物性食品には、血液中のコレステロールや中性脂肪を増やす飽和脂肪酸が多く含まれています。摂りすぎると動脈硬化の原因になるでしょう。脳卒中や心筋梗塞など、心疾患の懸念も高まります。

脂質を多く含む食品

脂肪分の多い肉類や脂の乗った魚介類に多く含まれます。油やバターなどの油脂類にも豊富です。

  • 乳製品(食品100g中)
    生クリーム(動物性):45.0g、クリームチーズ:33.0g、カマンベールチーズ:24.7g
  • 肉類(食品100g中)
    牛バラ肉:50.0g、豚バラ肉:34.6g
  • 魚介類(食品100g中)
    あんこうの肝:41.9g、鮪(まぐろ)脂身:27.5g、秋刀魚(さんま):24.6g
  • その他(食品100g中)
    オリーブオイル:100.0g、バター:81.0g、油揚げ:33.1g、くるみ:6.88g(10g中)

1日の摂取基準

年 齢 目標量(%エネルギー)
男女
0~5ヶ月 50*
6~11ヶ月 40*
1~2歳 20以上30未満
3~5歳 20以上30未満
6~7歳 20以上30未満
8~9歳 20以上30未満
10~11歳 20以上30未満
12~14歳 20以上30未満
15~17歳 20以上30未満
18~29歳 20以上30未満
30~49歳 20以上25未満
50~69歳 20以上25未満
70歳以上 20以上25未満

*は目安量です。「%エネルギー」は、1日に摂取するエネルギーに占める脂質の割合です。
「日本人の食事摂取基準」より抜粋

一緒に摂ると効能が高まりそうな栄養素

ビタミンE

ビタミンEなどの脂溶性ビタミンは、脂質と一緒に摂ることで吸収が高まります。ビタミンEは、抗酸化作用が強く、細胞の老化を防ぐため、アンチエイジングに効果が期待できます。また、ビタミンEには、不飽和脂肪酸の酸化を防ぐ作用も期待できます。

豊富な食品:かぼちゃ、にんじん、モロヘイヤ、ナッツ類、オリーブオイル

ビタミンC

油脂類の主成分である、脂肪酸は、空気に触れると酸化が進み、老化を進めたり、発ガンのリスクを高める過酸化脂質を生成してしまうので、予防のためにビタミンCを摂取しておきましょう。ビタミンCは油の酸化を防ぐので、揚げ物にレモンやかぼすの果汁をかけるのは理に叶っています。

豊富な食品:果物、緑黄色野菜、いも類など

脂質の多い食品を食べる時の注意点

酢と一緒に摂りましょう

酢に含まれる酢酸は、胃壁を刺激して胃液の分泌を促し、消化を助ける作用があります。脂質は消化スピードが遅いので、胃もたれや消化不良を招くこともあり、脂質を含む料理には酢を用いたり、前菜に酢の物を食べるようにするといいでしょう。

酸化しにくい植物油を使いましょう

オリーブオイル、ごま油、ひまわり油、コーン油、菜種油などの植物性油は、比較的酸化しにくく、調理油として利用するにはオススメです。開封したら2~3ヶ月で使い切るようにしましょう。保存する時は、油の容器に空気が入らないよう密封し、なるべく遮光瓶に入ったものを選び、冷暗所で保存しましょう。

まとめ

  • 脂肪酸とアルコールからできる高分子化合物です。
  • カラダのエネルギー源となり、余剰分は体脂肪として蓄積されます。
  • 細胞膜や核膜、ホルモンなどの材料となります。