亜鉛

傷の治りを早くし、味覚を正常に保ちます

亜鉛は、タンパク質と結合した状態で存在します。200種類以上の酵素の構成成分となり、特に、細胞が新しく生まれ変わる時に必要不可欠なミネラルです。傷の治りを早くし、血糖値を下げるインスリンの材料にもなります。

また、味覚や嗅覚を正常に保つ働きがあります。亜鉛は舌にある味蕾という器官の新陳代謝に関わっているため、亜鉛が不足すると、味覚障害に陥ります。味蕾が食べ物の味を感じ取っているからです。

レトルト食品やファストフードなどの加工食品には、亜鉛の吸収を妨げる添加物が使われているので、食べ過ぎには注意が必要です。

不足すると…!?

亜鉛は舌や耳の働きに作用するため、不足すると味覚や嗅覚が異常になります。また、タンパク質などの全身の代謝にも関わるので、特に成長期の子どもに不足が見られると、成長障害を招くことにもなります。また、免疫機能や生殖機能の低下、肌荒れなど、全身の至る所で悪影響が出てきます。

摂りすぎると…!?

やや毒性のある成分なので、1日2g以上(推奨量の100倍)摂るなど、過剰摂取になると中毒症状が出てきます。ふだんの食生活で摂りすぎる心配はほぼありませんが、缶詰食品を開けて、食品が入ったままの状態で長時間放置すると、缶に含まれる亜鉛が溶け出して、食品に大量の亜鉛がうつり、それを食すと中毒症状が出ます。缶詰食品を利用する場合は気を付けましょう。

亜鉛を多く含む食品

肉類や魚介類、大豆製品など、タンパク質を多く含む食品に含まれています。特に牡蠣に含有量が多いです。(食品100g中)

  • 肉類
    豚レバー:6.9mg、牛肩赤身肉:5.7mg、牛もも赤身肉:4.4mg
  • 魚介類
    牡蠣:13.2mg、鰻(うなぎ)の蒲焼:2.7mg、ほたて:2.7mg、しじみ:2.1mg、あさり:1.0mg
  • 大豆製品
    高野豆腐:5.2mg、納豆:1.9mg
  • ナッツ類(10g中)
    アーモンド:0.4mg、落花生:0.23mg

1日の摂取基準

年 齢 推奨量(mg) 耐容上限量(mg)
男/女
0~5ヶ月 2* 2*
6~11ヶ月 3* 3*
1~2歳 5 5
3~5歳 6 6
6~7歳 7 7
8~9歳 8 8
10~11歳 10 10
12~14歳 11 9
15~17歳 13 9
18~29歳 12 9 40/35
30~49歳 12 9 40/35
50~69歳 12 9 40/35
70歳以上 11 9 40/35

*は目安量です。妊婦は+2、授乳婦は+3を付加してください。
「日本人の食事摂取基準」より抜粋

一緒に摂ると効能が高まりそうな栄養素

ビタミンA

ビタミンAには、亜鉛の吸収を高める作用があります。合わせて摂ると、味覚や嗅覚を正常に保つ亜鉛の効能が高まるでしょう。また、亜鉛はビタミンAの代謝に関わるので、ビタミンAの抗酸化作用が促されて、老化を招く過酸化脂質の害を防ぎ、アンチエイジング効果も期待できます。

豊富な食品:レバー、しらす干し、ほうれん草、にんじん

タンパク質

亜鉛は、タンパク質から新しい細胞を造るために必要不可欠な栄養素です。タンパク質と合わせて摂ると、全身の新陳代謝がより活発になるでしょう。子どもの発育を促し、傷の治りも早くします。また免疫力も高まるため、風邪などの予防効果も高まるでしょう。

豊富な食品:肉類、魚介類、大豆製品、卵

ビタミンC

亜鉛は、皮膚や毛髪のもととなるタンパク質の代謝を促し、肌荒れや髪のパサつきを改善するでしょう。また、ビタミンCは、タンパク質から肌のハリやツヤのもととなるコラーゲン生成も促します。組み合わせて摂ることで、美養(美容)効果が高まるでしょう。

豊富な食品:緑黄色野菜、いも類、果物

まとめ

  • 酵素の構成成分となり、細胞の生まれ変わりや代謝に関与します。
  • 傷の治りを早くし、味覚障害を防ぐ働きがあります。
  • 加工食品の摂りすぎは亜鉛の吸収を悪くするので控えましょう。